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素晴らしき映画の世界|映画監督・蔦哲一朗のこれおすすめです!

素晴らしき映画の世界|映画監督・蔦哲一朗のこれおすすめです!

徳島県出身の映画監督・蔦哲一朗おすすめの作品たち Vol.1

 

 皆さんこんにちは。徳島出身の映画監督、蔦哲一朗です。『まいぷれ徳島』とは以前から仕事上のつながりがあり、この度おすすめの映画を紹介するコラムを書くことになりました。初回は、「映画から世界の地方を垣間見る」というテーマで3作品を選んでみました。

 

 

・『パターソン』 ジム・ジャームッシュ監督(アメリカ/2016)

・『苦い銭』 ワン・ビン監督(フランス・香港合作/2016)

・『この空の花-長岡花火物語』 大林宣彦監督(日本/2012)

・蔦哲一朗監督プロフィール&最新情報


 

『パターソン』

 

 

 まずは、アメリカから『パターソン』という映画を紹介したい。パターソンとはアメリカ合衆国の東部に位置するニュージャージー州の町の名前である。地方とはいっても、実はニューヨークから40 kmほどしか離れていない町なのだが、その空気感はどこか徳島にも共通するような部分が多い。

 町には、グレートフォールズという有名な滝があるものの、他にはとりたてて変わったところはない。そんな町で主人公の好青年・パターソンはバスの運転手として働き、同じ道を運転する毎日を過ごしている。現状に特に不満があるわけではない。可愛い妻と犬がいつも傍にいて、おそらく世に出ることはない大好きな詩を書いて過ごす日々。

 普通ならここから物語が始まりそうなものだが、この映画はそんなことはしない。ただただ、この男と彼女の日常が続いていく。それだけの映画だ。しかし、特別なことは何も起きないこの映画が、なぜか見る者をゆっくりと充実感で満たしてくれる。映画に過度なドラマは必要ないことを証明し、日常の中の豊かさに気付かせてくれる稀有な作品である。

 


 

Photo by MARY CYBULSKI (c)2016 Inkjet Inc. All Rights Reserved.

【ストーリー】

妻にキスし、バスを走らせ、愛犬と散歩する、いつもと変わらない日々。

それは美しさと愛しさに溢れた、かけがえのない物語。

 

 ニュージャージー州パターソンに住むバス運転手のパターソン(アダム・ドライバー)。彼の1日は朝、隣に眠る妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)にキスをして始まる。いつものように仕事に向かい、乗務をこなす中で、心に浮かぶ詩を秘密のノートに書きとめていく。帰宅して妻と夕食を取り、愛犬マーヴィンと夜の散歩。バーへ立ち寄り、1杯だけ飲んで帰宅しローラの隣で眠りにつく。

 そんな一見代わり映えのしない毎日。パターソンの日々を、ユニークな人々との交流と、思いがけない出会いと共に描く、ユーモアと優しさに溢れた7日間の物語。


 

Photo by MARY CYBULSKI (c)2016 Inkjet Inc. All Rights Reserved.

【作品データ】

★スタッフ★

監督 ・脚本:ジム・ジャームッシュ

撮影:フレデリック・エルムズ

編集:アフォンソ・ゴンサルヴェス

音楽:SQURL

詩:ロン・パジェット

 

★キャスト★

アダム・ドライバー、ゴルシフテ・ファラハニ、永瀬正敏 ほか

 

2016年/アメリカ/原題:PATERSON/日本語字幕:石田泰子

 

◆第69回カンヌ国際映画祭/コンペティション部門正式出品<パルム・ドッグ賞>受賞

◆第42回ロサンゼルス映画批評家協会賞<主演男優賞>受賞

◆第20回トロント映画批評家協会賞<主演男優賞>受賞


 

Photo by MARY CYBULSKI (c)2016 Inkjet Inc. All Rights Reserved.

【Blu-ray&DVD情報】

Blu-ray&DVD発売中
Blu-ray:4,800円+税

DVD:3,800円+税

 

提供:バップ、ロングライド

発売元・販売元:バップ

 

※ジャケット及び仕様・特典等は予告なく変更になる場合がございます。あらかじめご了承下さい。

 

 

⇒「パターソン」公式サイトへ

⇒vap|商品サイトへ


 

『苦い銭』

 

 

 次は、お隣中国の今を捉えた『苦い銭』というドキュメンタリーを紹介したい。湖州という町に集まってくる地方からの出稼ぎ労働者たちを生々しく撮影した本作は、私達の知らない中国を改めて教えてくれる。低賃金な縫製工場で延々と服を加工しながら働く老若男女の毎日を、「カメラが存在しないかのような撮影」で、人々のリアルなやりとりを見事に描いていく。昔の日本でも見かけたであろう些細ないざこざや酔っ払い達の姿が、まだこの映画の中には存在しており、どこか懐かしく感じさせてくれる。何より、ドキュメンタリーの最大の魅力である、本物の人間がそこで息をし、一喜一憂している姿がこの映画にはしっかりと記録されている。

 登場人物たちの未来を私は案じずにはいられないのだが、「決して良い方向には進まないだろう」という勝手な諦めを抱きながら見てしまっているのも事実だ。と同時に、この映画を見た今、これまで粗末に扱ってきた中国産の服にも、なぜか愛着を感じる自分がいるのである。それがこの映画の凄いところだ。

 


 

(c)2016 Gladys Glover-House on Fire-Chinese Shadows-WIL Productions

【作品紹介】

故郷を離れ、彼らは言う。

 「苦い銭を稼ぎにいくんだ」。

 

 舞台は中国、出稼ぎ労働者が住民の80%を占める街・湖州。過酷な労働条件であっても、「金を稼ぎたい」と各地の農村から集まった労働者が、この街には30万人以上暮らしている。

 田舎から初めて町に出て働きはじめる少女たちの瑞々しさ、金が稼げず酒に逃げる男、仕事がうまくできずに半ばヤケになって別の工場へ移る青年。おかしく、切なく、愛おしい人間たちの、いくつもの人生の一瞬が胸に響く。

 14億が生きる大国の小さき人々の物語を、名匠ワン・ビンが見つめたドキュメンタリー作品。こんな会話が、こんな表情が、なぜ撮れる? 天才監督にしかできない「マジック」が炸裂した一作。


 

(c)2016 Gladys Glover-House on Fire-Chinese Shadows-WIL Productions

『苦い銭』監督 王兵(ワン・ビン)のことば

 『苦い銭』は、雲南の故郷を離れて、出稼ぎ労働者が多く働く中国東海岸の街へと向かう、3人の若者の姿を追う場面から始まります。カメラはそれぞれの人物に近づき、彼らの過酷な労働の日々にあらわれる感情や、賃金を受け取ったときの失望を捉えます。

 中国社会では、現代ほど「金」が重要な時代は、これまでにありませんでした。今、誰もが裕福になりたいと願っています。しかし現実から見れば、それは誰もが空想の中に生きていると言うしかありません。目にする限り、人生とは不毛です。幻想と失望に満たされた現代にあって、従順な人生を送るために、私たちはしばしば自分の気持ちさえ欺いているのです。

 “流れゆくこと”は、今日の普通の中国人の重要なテーマです。私は、彼らの物語を語るために、カメラのショットや捉える人物をずらしながら、ある被写体から別の被写体へ、焦点を揺らすようにひとつに絞らずに撮影しました。


 

(c)2016 Gladys Glover-House on Fire-Chinese Shadows-WIL Productions

【作品データ】

監督:ワン・ビン

撮影:前田佳孝、リュウ・シャンホイ、シャン・シャオホイ、ソン・ヤン、ワン・ビン

編集:ドミニク・オーヴレイ、ワン・ビン

字幕:樋口裕子

 

2016年|フランス・香港合作|163分|DCP 5.1|16:9|カラー|中国語

 

全国順次公開中!

上映情報はこちら⇒ 『苦い銭』劇場情報

 

*自主上映も承ります。お問合せはムヴィオラまで。

info@moviola.jp 

TEL:03-5366-1545


 

『この空の花 -長岡花火物語』

 

 

 最後に、是非とも皆さんに見てもらいたい日本の地方を舞台にした作品を紹介する。なんといってもこの映画だ。尾道三部作などで有名な大林宣彦監督の「この空の花 -長岡花火物語」である。新潟県の長岡市で撮られた本作は、長岡の歴史と風景を紹介しながら、73年前の戦争から学ぶ平和への再考と、3.11東日本大地震からの復興への願いが描かれた異色の映画だ。

 大林監督と長岡市民の方々の愛がこれでもかといわんばかりに詰まっているため、少し風変わりな映画ではあるが、そんなことは関係ないというほどに、人類愛と映画愛に満たされた素晴らしい作品である。 有名な長岡の花火大会に込められた人々の平和への想いを知り、徳島県民としては、この作品と今色々と問題になっている阿波おどりを重ね合わせずにはいられない。もしかしたら、阿波おどりにも長岡のような祈りが必要なのかもしれない。誰かに想いを届けようとする大義があれば、道を見失わずに祭りを成長させ、私達をも成長させてくれるのかもしれないと考えてしまうのである。

 


 

(c)「長岡映画」製作委員会 All rights reserved.

【ストーリー】

 天草の地方紙記者・遠藤玲子(松雪泰子)が長岡を訪れたことにはいくつかの理由があった。ひとつは中越地震の体験を経て、2011年3月11日に起きた東日本大震災に於いていち早く被災者を受け入れた長岡市を新聞記者として見詰めること。そしてもうひとつは、何年も音信が途絶えていたかつての恋人・片山健一(高嶋政宏)からふいに届いた手紙に心惹かれたこと。

 山古志から届いた片山の手紙には、自分が教師を勤める高校で女子学生・元木花(猪股南)が書いた『まだ戦争には間に合う』という舞台を上演するので玲子に観て欲しいと書いてあり、更にはなによりも「長岡の花火を見て欲しい、長岡の花火はお祭りじゃない、空襲や地震で亡くなった人たちへの追悼の花火、復興への祈りの花火なんだ」という結びの言葉が強く胸に染み、導かれるように訪れたのだ。

 こうして2011年夏。長岡を旅する玲子は行く先々で出逢う人々と、数々の不思議な体験を重ねてゆく。そしてその不思議な体験のほとんどが、実際に起きた長岡の歴史と織り合わさっているのだと理解したとき、物語は過去、現在、未来へと時をまたぎ、誰も体験したことのない世界へと紡がれてゆく・・・!


 

(c)「長岡映画」製作委員会 All rights reserved.

【作品データ】

 

監督:大林宣彦

脚本:長谷川孝治、大林宣彦

撮影:加藤雄大、三本木久城、星貴

編集:大林宣彦、三本木久城

 

出演: 松雪泰子、高嶋政宏、原田夏希、猪股南、寺島咲、筧利夫ほか

製作/「長岡映画」製作委員会 PSC(c)2011

助成/文化芸術振興費補助金

 

2011年/日本/DV/160分/配給 TME・PSC

 

『この空の花 -長岡花火物語』公式サイトへ


 

 いかがでしたか? 3作品とも地方を舞台にした素晴らしい作品ですので、是非見ていただきたいと思います。映画の面白さを感じてもらえるコラムにしていきますので、次回もおたのしみに。

『蔦 哲一朗』

 

蔦哲一朗プロフィール&最新情報


【プロフィール】

蔦哲一朗(つたてついちろう)
映画監督・1984年生まれ・徳島県出身


 祖父は、かつて甲子園で一世を風靡した徳島県立池田高校野球部の元監督・蔦文也。

 上京して映画を学び、13年に地元、徳島の祖谷(いや)地方を舞台にした映画「祖谷物語ーおくのひとー」を発表。東京国際映画祭をはじめ、ノルウェー・トロムソ国際映画祭で日本人初となるグランプリを受賞するなど、多くの映画祭に出品され話題となる。
 14年、個人として徳島県より阿波文化創造賞を受賞。16年、祖父・蔦文也のドキュメンタリー映画「蔦監督ー高校野球を変えた男の真実―」、徳島県の林業推進短編映画「林こずえの業」を発表。現在、新作長編映画準備中。


 

【最新情報】

蔦監督の地元、徳島県三好市のPR動画『酒蔵の三姉妹』がwebで公開中!!

 

 「一般社団法人 三好みらい創生推進協議会」の依頼の元、同市の観光PRや移住促進を目的に、蔦監督の地元・三好市内にある酒蔵『三芳菊』の三姉妹が新酒を仕込み、2018年2月に開かれた“四国酒まつり”で販売するまでを追ったドキュメンタリーPR動画です。

 酒蔵『三芳菊』の関係者をはじめ、地元で暮らすたくさんの方が出演されており、三好市の魅力がぎゅっと詰まった作品です。

 

三好市PR動画 『酒蔵の三姉妹』(6分)
製作:一般社団法人 三好みらい創造推進協議会

制作:一般社団法人 ニコニコフィルム
監督・編集:蔦 哲一朗

撮影:竹野 智彦  音楽:鈴木 光男

 

ぜひご覧ください。