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Cute Movies

ハイジ

監督:ポール・マーカス

街に出かけるハイジ。わかっていながらもストーリーの展開にドキドキ。
(c)Surefire 2005 配給ギャガ・コミュニケーションズ
7月15日より恵比寿ガーデンシネマ、シネリーブル池袋他全国順次公開中
ハイジ実写版はまるで不思議の国のハイジだ!

「ハイジ」といえば・・・

ヨーロヨーロレイヒッヒー、レイヒッヒーレイヒッヒー~~

大画面には美しいスイスアルプスが、これでもか!と拡がり。青空の中、ぽっかりと浮かんだ白い雲にハイジが寝ころぶ・・・

ヨーロヨーロレイヒッヒー、レイヒッヒーのレイヒッヒー~~

ほらほら、アルプスホルンが山々にこだまして、どこからともなく耳を澄ませばネリー・シュワルツの美しいヨーデルが聞こえてくるでしょ?
ハイジが天からする~りと延びたあのブランコにちゃっかり乗ってアルプスを眺めてる・・・・なあんて「ハイジ」を想像していたら、ちょっぴり違う。

この実写版「ハイジ」のカメラは地にしっかりと据えられそびえ立つ山々を仰ぎ見る。どこを切り取っても〈絵はがき〉のようなアルプスではなく、紅葉の萌える木々、ずっしりと降る重い雪・・・それはまるで西洋画を見ているような落ち着きのある風景だ。

展開されていくストーリーはいつものハイジ物語なのだが、とにかくひと味もふた味もこちらの想像する「ハイジ」とは違う。
ただの予定調和の心温まる映画ではなく、ハイジや、彼女を囲む様々な人々の現実を見据えた深い人間ドラマに仕上がっているのだ。

恵まれない境遇のハイジ。貧困にあえぎ満足な教育を受けていないペーター。ある事件がもとで村に住めなくなった偏屈なアルムおんじ。最初から最後まで他人に心を開かない厳格なロッテンマイヤーさん。

貧しさと富。無学と教育、排他と寛容。この実写版「ハイジ」ではどれもこれも厳しい現実が痛いほど見る者の心に突き刺さる。
なかでも羊飼いに学問は無用と強がるペーターに、クララの屋敷で読み書きを習ったハイジが“これからは本を読むことはとっても大切なことなのよ”と、アルプスのパノラマをバックにペーターを諭すシーンが印象的で切ない。

ハイジを演じるのは7歳の時、ジム・シェリダン監督の『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』に出演しダコタ・ファニング以来の天才子役と言われているエマ・ボルジャー。

アルムおんじには、スウェーデンを代表する世界的な名優で、数多くのイングマル・ベルイマン作品で知られるマックス・フォン・シドー。そしてストイックなロッテンマイヤーを演じるのは喜劇王チャーリー・チャップリンの娘ジェラルディン・チャップリンらがしっかりと脇を固める。

ラスト!あまりにも有名なクララのエピソードに、思わず茶柱の号泣がアルプスにこだまする!
大人気だったファミリーアニメの傑作!高畑勲版「アルプスの少女ハイジ」と見比べてみるのも一興だ。

text by...  茶柱達蔵

2006/07/24