とくしま天体ショー
vol.04 月が欠けない? 半影月食(はんえいげっしょく)
あすたむらんど徳島職員、田村氏によるコメント&観測報告
2012年11月28日から29日にかけて半影月食が見られた。
前回6月4日に部分月食が起きたが、残念ながら雲に覆われて徳島からは見ることが
できなかったので、およそ半年ぶりの月食となる。あすたむらんど徳島自慢の15cm屈折望遠鏡に一眼デジカメを取付けて撮影したいところであるが、深夜のため、今回は6cm小型屈折望遠鏡にコンパクトデジカメを取付けて自宅から撮影に臨んだ。
半影月食は月が欠けないため、空を見上げて月食と気付く人は少なかったのではないだろか。私自身、半影月食と知って見上げていても月の北側(向かって上側)が少し暗いかなといった程度であった。
しかし、カメラを通して見る満月は、明らかに北側が黒ずんでいた。食が最も深くなる午後11時33分に撮影したのが下の画像である。月の上の方が薄暗くなっているのがおわかりいただけるだろうか。比較のために、9月30日の中秋の名月と並べて画像を作ってみた。並べて見ると半影月食の様子がよく分かる。
月食はなぜ起きる?
月食は、地球の影の中に月が入って欠けて見える現象で、太陽‐地球‐月が並ぶ満月の時に起きます。
月は満ち欠けしますが、これは月が自分で光を出しているのではなく太陽の光を受けて輝いているためです。ですから地球の影に入って太陽の光が当らない部分は暗くなり月が欠けて見えるのです。
そうすると、満月のたびに月食が起きそうですが、そうではありません。
月の軌道が少し傾いているため、通常は地球の影の上側か下側を通っていきます。条件が揃って月が地球の影の中に入るときだけ月食になるのです。
■ 月食の種類
月の一部が地球の影に隠されて見えなくなるのを部分月食、月全体が隠されるのを皆既月食といいます。
月食にはもう一つ、半影(はんえい)月食というのがあります。
地球の影には本影(ほんえい)と半影があります。太陽が点光源ではなく大きさがあるため、地球ですべての光を遮ることができず、本影の周りに薄暗い半影と呼ばれる部分ができます。この半影に月が入るのが半影月食です。
半影月食は、月が少し暗くなる程度で欠けて見えないため、知らずに見ると月食と気づかない場合が多いようです。