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とくしま天体ショー

vol.13  3年ぶりの皆既月食

vol.13  3年ぶりの皆既月食  2014年10月8日

あすたむらんど徳島職員、田村氏によるコメント&観測報告

「3年ぶりの皆既月食」

2014年10月8日、皆既月食が見られた。徳島では2011年12月10日以来およそ3年ぶりの皆既月食である。時間帯が早かったので、ご覧になった方も多いのではないだろうか。残念ながら後半は曇ってしまったが満月が少しずつ細くなり、やがて赤みを帯びていく姿に宇宙の神秘を感じずにはいられなかった。

月食は、月が地球の影に入って欠けて見える現象である。
地球も月も自分では光っておらず、太陽の光を反射して輝いているので、太陽の反対側には影ができる。そのため太陽-地球-月が一直線に並ぶと、地球の影の中に月が入り、月が欠けて見えるのだ。
月食が起きるのは満月の時だが、満月のたびに月食が起きるわけではない。星空の中での太陽の通り道と月の通り道がずれているため、満月は地球の影の北側か南側を通過する。条件がそろって地球の影に入ると月食になるのだ。

月食には「半影月食」「部分月食」「皆既月食」の3種類がある。月食の種類や仕組みについては“vol.04 半影月食 2012年11月28日”をご覧いただきたい。

今回は、月が本影の中に完全に入り込む皆既月食だ。皆既月食の醍醐味は、皆既色中の月面の色だ。
月面に光が当たらなければ月は真っ暗で見えなくなってしまうはずだが、実際には赤みを帯びて見える。本影には太陽の光は届かないが、地球を取り巻く大気で屈折した光が本影の中に回り込んで月面を照らすのだ。
光の中でも波長の長い赤い光が届くので月面は赤みを帯びて見える。夕焼けが赤いのと同じ理由だ。

さらに興味深いのは、皆既食中の月面の色が毎回同じではないことだ。
大気がきれいに澄んでいると月面は鮮やかなオレンジ色に輝き、逆に汚れていると月面は暗くなる。

1982年にメキシコのエルチチョン火山が噴火した時は、火山灰が成層圏に達し、同年12月30日に見られた皆既月食では、皆既食中の月面が真っ暗で、月がどこにあるのか探さないと見つけられなかったのを今でも記憶している。

今回は澄んだ秋空の下、明るいオレンジ色を期待したのだが、赤黒い色であった。皆既月食では一般的な見え方だったと思う。

撮影には、これまで様々な天文現象を捉えてきた15cm屈折望遠鏡+デジタル一眼レフカメラを使用した。上の写真は午後8時27分に撮影したものである。

次回は、2015年4月4日に皆既月食が見られる。皆既食中に月面がどんな色を見せてくれるのか楽しみだ。