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取材に行ってきました!

蔦哲一朗監督の挑戦 “DIYA”(ディヤ)プロジェクト

祖谷地方の現実

限界集落とされる祖谷地方の中でも、特に厳しい環境にある落合集落。急斜面の上に田畑や家屋が並んでいます。
限界集落とされる祖谷地方の中でも、特に厳しい環境にある落合集落。急斜面の上に田畑や家屋が並んでいます。
 徳島県の西部、三好市にある祖谷(いや)地方。日本三大秘境の1つとされ、豊かな自然と昔から伝わる慣習や文化が今もなお残る場所として知られています。
 海外からも注目されている「秘境」という神秘的な場所である一方で、そこで暮らす人々は厳しい自然と対峙しながら生活を送っているというのが現実です。
 近年全国で起こっている鹿や猿、イノシシなどによる被害は農業・林業に携わる人たちの深刻な問題となっています。
 これまで編集部の取材に何度も応じてくださった映画監督の蔦哲一朗さんは、「祖谷物語-おくのひと-」の撮影で訪れたこの場所で、この地方の抱える問題を目の当たりにしました。

⇒『祖谷物語-おくの人-』の取材の様子

“DIYA”プロジェクトの誕生 蔦監督からのメッセージ

蔦監督は、編集部の取材にこのプロジェクトについてこう答えてくれました。
 祖谷地方から離れた場所に住む人たちには、魅力的な場所としてここは映っているかもしれません。それの一方で、この地方を含む全国各地で行われている「有害鳥獣の駆除」は残酷な行為として一部の人たちに批判されています。しかし、この駆除はそこに住む人たちが生活を守るために必要な行為であり、決して動物たちの命を軽んじているわけではありません。
 映画の撮影中に見た、銃を持ち山に入っていく猟師さんたちの姿と、駆除され山の中に放置された鹿の姿。その現実をたくさんの人に知ってもらいたいという思いと、駆除された鹿への供養の気持ちを込めて、
“DIYA”プロジェクトを立ち上げました。
※徳島県内で平成27年に駆除された鹿は12,000頭以上で、毎年その数は増加しています。(徳島県鳥獣捕獲実績より)

“DIYA”プロジェクトの今後の活動について

 駆除された鹿を猟師さんからいただき、革製品として利用できるようになめしたあと、徳島で育てられた「本藍」で染められバッグや財布、スマートフォン用のケースを製作します。近い将来には、蔦監督をはじめ多くの方の「祖谷地方で起こっている現実」への想いを込めて製品化し販売も行っていく予定です。
 
 監督らは、
活動資金を集めるための『クラウドファンディング』を実施したのですが、たくさんの方の支援があり、目標の300万円を超える資金が集まったということで、クラウドファンディングは終了したと蔦監督から先日連絡をいただきました。

※現在クラウドファンディングの受け付けは終了しております。

⇒“DIYA”プロジェクトオフィシャルサイトへ

徳島の本藍で染め上げられた鹿の革。阿波藍から生まれる色は多くの人を魅了するはず。
徳島の本藍で染め上げられた鹿の革。阿波藍から生まれる色は多くの人を魅了するはず。
祖谷に住む人たちとのふれあいの時間。右の男性が鹿の駆除を行っている猟師さんの一人。
祖谷に住む人たちとのふれあいの時間。右の男性が鹿の駆除を行っている猟師さんの一人。

お礼の品としてプレゼントされる製品たち

 左上より。ドレス手袋・ハンドバック・長財布・スマートフォンケース・キーホルダー・名刺入れ・小銭入れ・がま口財布。種類もとても豊富。
 本藍で染められたもの以外に、ナチュラル(染めなし)・パステルピンクやイエロー、グリーンもある。
 多くの職人の技が一つになった鹿革製品は、デザイン性にも優れたものばかり。見ていると吸い込まれそうな深く濃い藍色や、ろうけつ染めされたふぶき柄は、編集部員も息をのむほどの美しさでした。
 クラウドファンディングも無事終了し、着々と準備が進んでいるということで、一日も早くこれらの商品が一般販売されることを編集部一同願っています。

 徳島市立木工会館で製品が展示されていた時の様子。
<徳島市立木工会館>
住所:徳島市福島1-8-22
電話:088-622-9625
開館時間:9:00~17:00
展示期間:平成29年6月26日(月)~8月20日(日)
場所:1階常設展示場
<右>

染められた鹿革を後ろに、鹿の角と長財布を手にした蔦哲一朗監督。6月27日(火)、木工会館にて撮影。

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