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映画監督・蔦哲一朗の素晴らしき映画の世界|

素晴らしき映画の世界|映画監督・蔦哲一朗のここだけの話! Vol.14

Vol.14


映画作成の途中経過を報告します。

2022年も気がつけば、はや4月。ロシアがウクライナに侵攻したかと思えば、SNS上では相変わらず監督や俳優のパワハラ、セクハラなどのスキャンダルが飛び交い、その一方で日本映画界を牽引してきた著名な方々の訃報が毎日のように届くというカオスな状況。唯一の希望は、濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」の米アカデミー賞の受賞ですね。ただ、濱口監督の快挙に喜んでいられるのも束の間、といいますか冷静に考えて、濱口監督が日本映画界にいなかったら、結構ヤバい状況だよなぁと、日本映画の将来を案ぜずにはおれませんが、そんなふうに人のことを心配している場合ではなく、私も自分の次回作の準備に本腰を入れなければと思っている次第です。

ロケセットが完成! 人生初の新築?を手に入れました。

冬の川で手長エビを捕まえました。

素揚げにして食す。

「カリコ牛」をテーマにした新作の準備は、前回のコラムでお伝えしたロケセットが無事に完成し、素敵な茅葺屋根のお家が黒沢湿原に出現しました。梁や柱などは基本的に地元の古民家を解体して持ってきた木材がほとんどですが、壁などは新しい木材を使用したので、京都の映画専門の塗装職人さんたちに来ていただき、古めかしくて味わいのある家になるように劇的に変身させてもらいました。

ビフォア

アフター

塗装職人さん達の技術とスピードには感服いたしました!

美術の部谷さん(一番左)と地元大工さんの大西さん(一番右)も一緒に記念撮影。

家の中の塗装も完璧です。

牛の寝床となる厩(まや)もこんな素敵になりました!

そんな皆さんが頑張ってくれている中、私は何をしていたかというと、シナリオの推敲もそうなのですが、今回主役となる牛のふくよちゃんと一緒に、牛耕のトレーニングをしておりました。ふくよちゃんは、知り合いの牛飼いさんが大人しい、いい牛がいるということで紹介してもらい、私の厳しいオーディションを勝ち抜き、見事主演に選ばれた女優牛です。ただ、突然の抜擢に本人も驚いているようで、それまでの食っちゃ寝の引きこもり生活で体力はなく、最初は少しの散歩で息が上がってしまっていました。

ただ、毎日の散歩と鞍や犂を付けての訓練で次第に筋肉もついてきて、少しずつですが、辛抱強くもなってきています。撮影までのあと1ヶ月半であとどれくらいに成長できるのか、ふくよちゃんの活躍が楽しみです。

明治時代の牛耕を再現してのトレーニング。

そして、最後はまた映画祭の報告ですが、徳島2大映画祭のひとつ、徳島ニューノーマル映画祭が、3月に徳島市の文化の森で開催され、私の監督作で昨年劇場公開された「たまの映像詩集 渚のバイセコー」を上映していただきました。舞台挨拶にもお呼ばれして、久しぶりに地元徳島の皆さんの反応が見えたので、新作に向けて身の引き締まる思いでした。次のコラムの時には「カリコ牛」の撮影後になるかと思いますので、またいい報告ができるように、クランクインまでの毎日を大事にしていこうね、自分。

◆ギャラリー◆

娘たちと一緒に日向ぼっこ。

冬、雪が降ると一面の銀世界に。昔話のような風景が広がっています。

大人しいふくよちゃんには乗ることもできます。