映画監督・蔦哲一朗の素晴らしき映画の世界|
Vol.16
昨年春の「黒の牛」の撮影が終わって、ウダウダとしていたら、気がつけばもう年を跨いでいるではないですか。このコラムも半年ぶりですね。皆さん、お待たせしました。明けましておめでとうございます!
私は元気です。娘たち家族も元気です。
この半年間は、「黒の牛」の撮影した分を編集していたり、一昨年に美馬市で撮影した「雨の詩」という映画の公開に向けての配給をしていたりと、東京で子育てをしながら穏やかな日常を過ごしておりました。これからは「黒の牛」の今年2月の冬パートと台湾パートの撮影に向けて、また新たに準備に本腰を入れていかないとです。
保育園の送り迎えの様子です。
今年は昨年よりも実り具合がいいです!
前回、鹿に食べられたリベンジを果たせました!
見事な玄米です!
「黒の牛」の撮影時にロケ地に田植えをした稲は、鹿に食べられないように網などの対策もしっかりしたので、一昨年よりもだいぶ立派な稲穂がつき、今回は無事に収穫することができました!それでも沼地で水の引かない田んぼでの稲刈りには、だいぶ足腰をやられました。1.5反ほどの田んぼで約60キロの玄米が収穫できたので、通常よりは少なめかとは思いますが、それでも映画のキャスト・スタッフと地元の皆さんで育てたお米は格別です!冬の撮影時にはみんなで食べようと思います。
「雨の詩」は美馬市にあるアースシップという公共のインフラに頼らず、雨水を濾過して使ったり、太陽光で発電して電気をまかなったりする、いま注目のとってもサスティーナブルなお家で、都会から移住してきたジンと地元の協力者であるテラの自給自足生活を描いた45分のモノクロ中編映画です。
その地元民のテラには、実際に徳島で農家をしている寺岡弘貴さんに出演をお願いしました。俳優業はもちろん経験ないテラさんですが、今回はドキュメンタリー的な要素も沢山ある映画なので、普段どおり川で鰻を捕まえてもらったり、スッポンを捌く様子を撮影して、テラさんの野性味あふれる魅力が伝わるような作品になったと思います。
そこに、都会育ちのジンが敬愛する詩人・山尾三省の「火を焚きなさい」という詩を織り交ぜ、田舎でのリアルだけど少し不思議な「自然と人間の関係性」を描こうとした自然回帰ダークファンタジー映画です。
昨年末に東京と大阪の公開の終え、今は全国のミニシアターに展開していけたらと思っておりますので、またお近くの劇場に来ましたら、ぜひ観てください。環境音や空気感にはこだわりましたので、ぜひ劇場の5.1chサラウンドで田舎の山里にいるかのような感覚を体験してもらえると嬉しいです。
「雨の詩」公式ホームページ:https://www.amenouta-movie.com/
内藤佐和子徳島市長に、「雨の詩」のキャスト2人と表敬訪問してきました。
寺岡さんのご友人から素敵なお花も頂戴しました!
とくしま4K+NEXT ~4K・VR徳島映画祭~での上映前・舞台挨拶の様子。
そして、今年の冬に残りのシーンを撮影する予定の「黒の牛」ですが、昨年秋にようやくビザなしで台湾への渡航が許可されたので、早速ロケハンに行ってきました。目的は“牛の楽園”を探すことです。台湾のスタッフが探してくださった情報を元に、台北、花蓮、そして澎湖の離島を周り、タグの付いていない半野生化した牛たちの楽園を見てきました。そのどこかで今年の2月には初の海外撮影を敢行するわけですが、今からどんな撮影になるかワクワクが止まりません。
台北の陽明山辺りの牛さんです。
たまに襲ってくることもあるようです。
花蓮の海岸沿いの牛たち。
澎湖の離島の一つです。島全体が石垣の棚畑になっています。
味のある廃墟がそこら中にありました。
この島に牛はいませんでしたが、ヤギが沢山いました。
“ヤギの楽園”です。よく見ると写っていますよ。
プロデューサーの黄さんが鴨鍋を振る舞ってくれました。
私のお気に入りは、烏賊そうめんです。
そして、最後になりますが、実はまた別の新作短編ドキュメンタリー映画を制作しまして、これから映画祭に応募していく予定です。女優とグラビアアイドルである奥村美香さんを追った作品という、私っぽくないテーマの映画ですが、経緯はまたの機会にお話ししますね。ただ、こちらもいつも通りフィルムは貫きまして、16mmカラーでの撮影になります。公開等まだ何も決まっていませんが、こちらもどうぞご期待ください。
それでは、今年も皆様にとって豊かな一年になりますように!
都内で16mmフィルムカメラをブイブイいわせてきました。
こちらが主演の奥村美香さんです。
奥村美香さんのご友人の皆様です。(あれ、見たことある方が。。。)
今回はドキュメンタリーということもあって、少人数制です!
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