地元暮らしをちょっぴり楽しくするようなオリジナル情報なら、徳島の地域情報サイト「まいぷれ」!
文字サイズ文字を小さくする文字を大きくする

徳島の地域情報サイト「まいぷれ」徳島市

映画監督・蔦哲一朗の素晴らしき映画の世界|

素晴らしき映画の世界|映画監督・蔦哲一朗のここだけの話! Vol.15

Vol.15


映画作成の途中経過を報告します。

参議院選も終わり、憲法改正が現実味を帯びてきたわけだが、まぁ人間なんて結局後悔してからじゃないと学べない生き物ですよね。せっかく今までアメリカに守ってもらっていたヒモのような生活を捨てて、自立してせっせと働こうとしているのだから、ご苦労なことです。同じように妻のヒモとして(妻や親族の寛大な理解と協力のもと)生きている私からすると不思議でしょうがないですな。まぁ、でも日本が隣国を恐れ、自国の軍備を持たないといけないかのような錯覚になるのは、ロシアとウクライナの戦争だけに限らず、結局はまだ“世界が平和になっていない”という至極当然の理由があるわけで、先の第二次世界大戦でせっかく手に入れた自分たちだけの平和に罪悪感を抱いて、わざわざ後退して他国に合わせにいく協調性の良さは、さすが日本人という気がします。

全員集合!もちろん女優牛のふくよも一緒です。

撮影はこんな感じでした。

いつになく真面目な私。

と、そんな物騒な世界とは全然つながっていないかのように、「カリコ牛」をテーマにした映画は、ようやく5月のGW明けに徳島の三好市で撮影がスタートしたわけです。4年間以上準備してきた映画だけに喜びもひとしおかと思いきや、意外と気持ちは落ち着いていたように思います。天候の予想が難しく、反省点はもちろん多々ありましたが、優秀なスタッフが集まってくれたおかげで、今までにないくらいの楽をさせてもらった撮影だったなぁというのが私の第一感想です。

主演の李康生さんと女優牛のふくよ。

記念撮影。

伊尾木洞での撮影の様子です。

禅僧役の田中泯さん(左)と、禅僧指導の坂本康典さん。

禅僧役の田中泯さんクランクアップの様子。

今回、牛と共に生活する主人公の男を演じたのは、世界で活躍する李康生(リー・カンション)さんという俳優さんです。台湾出身の李さんとは、日本語はもちろん英語もお互いできないため、通訳を通してのコミュニケーションとなりましたが、そこにあまりストレスを感じることはなく撮影できたと思います。李さんのユーモラスな性格に助けられて、私の真面目で堅苦しい映画に、意図せずコメディの要素も入って、それが良い方向に作用した気はしております。また、禅僧役には「祖谷物語」でもご一緒した田中泯さんが出演してくださることになり、三好市に再訪。10年経っても変わらない泯さんの洗練された肉体を見ると、10年で中性脂肪いっぱいになった自分の身体が恥ずかしくなります。

ロケ地は、主人公の家のロケセットがある三好市の黒沢湿原だけにとどまらず、徳島県海陽町の海岸、高知県安芸市の伊尾木洞、愛媛県久万高原町の四国カルスト、香川県観音寺と三豊市のお寺や民家もお借りするなど、四国四県を網羅することとなりました。そして、ありがたいことにそれぞれ地元の方々がエキストラやボランティアスタッフとして参加してくださり、助けてくれたのでした。香川県三豊市ではエキストラを100名近く集めたいという私の無茶振りにも市の職員さんや地元企業の方々が見事応えてくださり、衣装の着替えやヘアメイクなど大変でしたが、その苦労の甲斐もあって、町興しとしてもとても盛り上がったように思います。

それ以外にも三好市では、消防団の皆さんによる雨降らしのシーンで協力してもらったり、御婦人方からの炊き出しで美味しいカレーやそば米雑炊を腹いっぱい食べさせていただいたりと、まさに地元ならでは、蔦の名前パワー全開の撮影となりました。

地元消防団の皆さんと雨を降らしたシーンの様子。

エキストラとは思えないくらいハマっている海陽町の皆さん。

こちらは地元の御婦人方からの愛ある炊き出し。

娘たちや地元の子達も牛に興味津々。

こうして、6月中旬までの約1ヶ月半にも及ぶ撮影をなんとか無事に切り抜けることができた「カリコ牛」。早くみんなに撮影したフィルムの映像を見てもらいたいですが、実はまだ冬の撮影が残っておりまして、来年初めの雪を狙って再度撮影を敢行する予定です。公開は2023年の秋頃。どうかそれまで首を長くして持っていてください。そして、公表がOKとなった一大ニュースですが、なんと本作の音楽にはあの坂本龍一さんが作曲をしてくださることになっておりますので、そちらも皆さんどうぞご期待ください!